熊本地方裁判所 平成元年(わ)468号 判決 1991年2月26日
本籍
熊本県下益城郡城南町大字隈庄五七二番地
住居
同町大字阿高二六九番地
会社役員
緒方成明
大正一〇年一月三〇日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官小畑勝義出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金三〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、養鶏場を経営する傍ら、自ら株式の売買を行うなどして多額の所得を得ていたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、右売買を自己及び家族、従業員名義などで行ったように仮装して所得を一部秘匿して上
第一 所得税六一年分の総所得金額が一億四七八三万八九円で、これに対する所得税額が八六七二万八六〇〇円であるのに、昭和六二年三月一六日、宇土市新小路町九五番地所在の宇土税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二〇三七万九三三八円で、これに対する所得税額が三〇九万五二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同六一年分の正規の所得税額との差額八三六三万三四〇〇円を免れ
第二 昭和六二年分の総所得金額が二億五七一万八四四一円で、これに対する所得税額が一億一一三六万四五〇〇円であるのに、昭和六三年三月一五日、前記税務署長に対し、所得金額が四五〇九万九八八九円で、これに対する所得税額が一七八一万三〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同六二年分の正規の所得税額との差額九三五五万一五〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示各事実について被告人の当公判廷における供述のほか、証拠等関係カード(検察官請求分)記載の次の番号の証拠
判示各事実について
甲の4ないし283
乙の1ないし43
判示第一の事実について
甲の2
判示第二の事実について
甲の3
(法令の適用)
被告人の判示各所為は、いずれも所得税法二三八条一項、二項に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑及び罰金刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算した金額の範囲内で被告人を懲役一年六月及び罰金三〇〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金一五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑を執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。
(裁判官 松信尚章)